国連承認NGO「NGO Committee for Rare Diseases」にて日本代表として事例紹介をおこないました

2016.11.11 16:29

国連承認NGO「NGO Committee for Rare Diseases」にて 弊法人西村由希子理事長が日本代表として事例紹介いたしました。

以下、会議内容も含めて報告いたします。

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2016年4月、希少疾患領域における様々な国際連携を加速化させるため、初めての国連憲章に基づくNGOとして、NGO Committee for Rare Diseases  (CfRD) が承認されました。本NGO設立に際し開催された設立会議に、日本からは弊法人西村由希子理事長と西村邦裕副理事長が出席し、西村由希子理事長が日本を代表して国内事例紹介をおこないました。

  

午前は、Keynote Addressesとして、CoNGO代表のCyril Ritchie氏からNGO設立に関する祝辞、ECOSOCのDirectoerであるNavid Hanif氏から社会的な課題である旨、Agrenska代表のAnders Olauson氏から希少疾患について、グローバルでの課題であることなどの話から始まりました。その後、NORD設立者のAbbey S. Meyers氏から希少疾患、Orphan Drugのアメリカでの取り組みと、それを他の国へどう広げて行くのか、について、EURORDISのTerkel Andersenからヨーロッパの取り組みが紹介されました。また、同じくEURORDISのYann Le Cam氏から、Rare Disease International (RDI)の国際的なコミュニティについて紹介がなされ、国際的に取り組んで行く方向性が示されました。

  

続いて、ヨーロッパ、北米、南米、ロシア、中東・中央アジア、アフリカ、日本、中国、マレーシア、オーストラリアと10カ国からの希少疾患の分野に対する各国の取り組みが、各国のリーダーから発表されました。インド、イランからもビデオメッセージがあり、ポルトガルからもコメントが発表されました。

各国の発表時間は5分と事前に規程されていたため、日本からは難病という言葉について、近年の難病関連施策およびプロジェクトについて紹介した後、多くの関係者が希少・疾患領域に取り組んでいること、また国際連携を歓迎していることを知っていただくため3人のリーダーから祝辞をいただきました。末松誠氏(AMED、理事長)からはAMEDそしてIRUDの取り組みが紹介され、会場から拍手が起こりました。高橋孝雄氏(慶応大学教授、日本小児科学会会長)からは小児領域における国際連携の重要性が語られ、最後に述べられた「Happy Birthday」とのコメントに会場からは暖かい笑いがおきました。そして、日野原重明氏(聖路加病院名誉院長)からのコメントについては、多くの方が写真を撮りながら聞き入っていました。他国と比べてユニークな事例紹介となりましたが、終了後多くの方から素晴らしかったとコメントをいただきました。(なお、国内患者協議会代表2名のメッセージは、後日英語訳をつけたバージョンがNGOのウェブサイトから公開されます)

    

その後、診断・予防について発表がありました。まずUNICEFのVidhya Ganesh氏からコメントがあり、その後、二分脊椎症と血友病についての紹介がなさましれた。

最後に、Stephen Grofts氏からの研究から開発に関するコメント、Abbey S. Meyers氏から、ポルトガルのジョセフさんから名のついたマチャド・ジョセフ病について、ポルトガル、ブラジル、日本も含めて見つかっており、世界は狭い、ということで、これを機会に協力していこう、という話となり、午前の部を終えました。

なお、午前セッションの最後には、基調講演者として予定されていたMin-Chieh Tsen氏の欠席理由がCyril Ritchie氏から明かされ、改めて国連は国や地域を超えて議論ができる貴重な場であることを認識していただきたいという強いコメントがありました。

ランチ休憩を挟み、午後からは関連組織からの発表がありました。最初に、国連におけるSustainable Development Goals (SDGs)設定の意義および重要性について、Lauren Barredo氏(SDSN)ならびにNata Menabde氏、Cyril Ritchie氏(WHO)から説明がありました。Laurenさんからは、Universalityについて、また誰も置き去りにしない政策(Leave no one behind)について強いメッセージが有り、またデータ収集について言及しておられました。Nataさんからは、SDGsについて、また政府との交渉には通常3年は時間がかかることなど、国連として取り組むタイムラインに関する説明がありました。Cyril氏からは、SDGsが持続可能な開発目標であること、関係を継続しながら議論を進めていく重要性などについて、具体例を挙げた説明がありました。

次に、国連が掲げている活動目標と本NGOとの活動との関連性について、各トピックの識者から発表がありました。「障害・ジェンダー」という視点でMaria Montefusco氏(Nordic Center of Welfare and Social Issues)および Gustavo Gonzalez-Canali氏(UN WOMEN)が、「教育」で Gunilla Jaeger氏(Ågrenska )が、「雇用・貧困・インクルージョン(多様性)」という視点でMarek Plura氏(European Parliament)ならびにDaniela Bass氏、Tenu Avfia氏(UN DESA,からそれぞれ発表がありました。Gunillaさんからは、希少疾患領域については教師が知るべき事項であること、生徒だけでなく全ての人に対する教育の必要性について語られました。また、Marekさんからは、ICTをはじめとした新しいテクノロジーは遠距離であっても通用すること、貧困で医療が請けられない人の現実について紹介がありました。Danielaさんからは、人権に関して政策の枠組みの紹介があった後、協働していこうという熱く強い主張がありました。Teruさんからは創薬・保険という視点からコメントがあり、オーファンドラッグ薬価や医療費などについて今後検討すべきだとの見解が示されました。その後、すべてのトピックを包括した全体討論が実施され、どのトピックについてもRare Diseasesは重要な検討項目となり、皆が同じ方向に向かうことが重要であること、また他の領域にも貢献できることが確認されました。同時に、UN内の各組織との連携の重要性について参加者全員が理解しました。

次に、希少疾患領域の国際組織からの活動紹介がありました。国際共同研究コンソーシアムであるIRDiRCからはChristopher P. Austin氏が登壇し、近年の当該領域研究の発展について、また国際共同研究の重要性やIRDiRCの歴史について発表がありました。国際製薬協IFMPMAのPhilip Vickers氏は、今後の創薬開発には患者の自然暦調査が重要であると述べました。つづいて、OrphanetからはAna Rath氏が、そして国際学会組織ICORDからはJohn Forman氏が、それぞれの活動および未来に向けたビジョンを紹介しました。その後、マレーシア患者から、表皮水疱症患者からのビデオメッセージが届けられました。

多様な発表をうけ、Olausson氏からは、今回集った識者らによる活動がNGOを通じて結集してこそ、が患者をはじめとした関係者にとって価値あるものとなる、というコメントがありました。

最後に、マルタ共和国健康省大臣であるJoseph Muscat氏から閉会挨拶があり、熱い会合が終了しました。

私自身、希少疾患領域の国際活動に10年以上関わっていますが、ここまですべてのステイクホルダーが集った会合ははじめて経験しました。それは、私だけでなくすべての参加者の感想であり、皆がNGO活動を通じて、今まで以上に希少疾患領域に貢献していくことを確認することができたと思います。閉会後多くの参加者が「今日はRemarkable Dayだ」と言っていましたが、本当にこの日がスタートであることを実感できる貴重な1日でした。

今後も、国際社会の一員として、そして希少疾患領域のさらなる発展を目指す者として、関係者らと協働して活動を続けていきたいと思います。また、NGOでの活動については、随時国内関係者に紹介し、また「つないで」いきたいと思いますので、ASridを、そしてNGO Committee for Rare Diseasesを引き続きご支援いただければ幸いです。

(文責 西村邦裕 西村由希子)

  

(文責 西村邦裕 西村由希子)

*Program:http://www.ngocommitteerarediseases.org/inauguration/(英語)

*プレスリリース:http://www.ngocommitteerarediseases.org/wp-content/uploads/2016/11/Press-Release.pdf (英語)

NGO Websitehttp://www.ngocommitteerarediseases.org/ (英語)

*UN Web TV (Part 1) Global Gathering for Rare Diseases: Inaugurating the NGO Committee for Rare Diseaseshttp://webtv.un.org/%20http:/www.unmultimedia.org/tv/webcast/archive.html/watch/part-1-global-gathering-for-rare-diseases-inaugurating-the-ngo-committee-for-rare-diseases/5206851186001 (英語)

(Part 2) Global Gathering for Rare Diseases: Inaugurating the NGO Committee for Rare Diseaseshttp://webtv.un.org/%20http:/www.unmultimedia.org/tv/webcast/archive.html/watch/part-2-global-gathering-for-rare-diseases-inaugurating-the-ngo-committee-for-rare-diseases/5206929092001 (英語)